報告書を提出した東方司令部。
名目上は上司に当たる男からの食事の誘いを断りながら、天才錬金術師の名を恣にする少年は唐突に気付いた。
そういえばオレの手帳、仕事関係の欄にコイツの住所書いてるんだよ。
だってのに、この不自然な会話の行き先はなんなんだ。
……普通の上司部下や同僚は、こんなイカガワシイことになったりしない。
「今までのは全部忘れとけオラ」
「君にはカテゴライズの修正という発想はないのかね…?」
正しい明日の為、何の前置きもなく名実の一致を要求し始めた会話相手に、情けないやら傷付いたやらで彼曰く『カテゴリー・上司』は机に突っ伏すことになった。書類地獄の中でそれだけのスペースが机上にあったことは奇跡に等しい。
「なんでオレがそんなことしなきゃなんないんだよ」
「高々認識の問題じゃないか!?それに弟とはどうなんだその理屈でいくと!!」
「あー無問題」
食い下がる上司とは対照的に、早くも話題に飽きてきた鋼の錬金術師は、ちらちらと退出の機会を窺って扉に目を遣っている。
「アルのカテゴリーは『アル』だから」
自己脳内で愛人にカテゴライズされている筈の相手から他の男のノロケを聞かされ、切れ者と名高い青年将校29歳が悔し涙に暮れる。
しかも顔を上げれば、既に少年の姿はなかったり。
「は、鋼の……!?」
次に会う三ヵ月後にはすっかり今のやり取りを忘れられているとは予想だにせず、取り残されたマスタングは真っ青になった。
「おー、大将どした?ぼんやりして」
「徹夜で報告書やっつけたから眠くて……」
ハボックの好意で軍の仮眠室を貸して貰った少年は、三ヶ月と言わず三十分後には最前の寝言を忘れ去っていたという。
三ヶ月間悩みに悩んだ大人は、幸か不幸かそれを知らず終いであった。
寝起きに「オカシイんじゃねぇの?」不自然に感じたのは梓。
寝ボケた頭では大発見だと思ったのですが、意識がはっきりしてから思い返せば「それがどうした」という…。
寝てる時の思考回路って一種謎ですな。
目が覚める直前まで夜景の見えるホテルのレストランでワインを傾ける大豆の夢なんか見てた所為だ……(死)。
その前の夢ではリン様と増田が豆を巡ってバスケゴール対決してました。寄る年波には勝てずに増田が敗北してました。リンエドかよ!!Σ(゚Д゚)