出会うのはお別れする為にです。
僕はとても永い旅を続けていて、車窓から眺める風景のように、全ては瞬く間に過ぎ去ってゆくものだから。
え、旅をする理由?――出会う為ですよ。何かに。
死ぬことより生きることの方が断然難しいんだ。
けど、俺はあの棺を見ちまったからな。あんな胸が張り裂けそうな想いを大事な人が味わうなんてとんでもねえことだ。
だから、十代目が息を引き取った一秒後に冥土へ向かう。目下の俺の目標だ。
男の生き様は極限が相応しい!
中でもボクシングは素晴らしいスポーツだぞ!競技であり戦いであり、哲学であって対話でもある!男のあるべき姿がそこには凝縮されているッ!!
――相撲?うむ、そういうのもあったな。別にボクシングを捨てた訳ではないぞ。要は自分自身に恥じない生き方をしていれば良いのだ!!
獄寺?あいつ面白いよなー。最初の頃は、俺も本気になって怒ったりしたけどさ。我ながら大人げなかったよな、ははっ。
……ん?馬鹿になんかしてねーぜ。あいつ頑張ってるし。
ただ馬鹿な子ほど可愛いっての?親でも教師でも、駆けっこで一等になった子より、転んで泣いてる子の方に沢山構うじゃん。いい年してあーゆーのは勘弁して欲しいけどなー。
正直なところ、十年前の若きボンゴレの方が好きだなあって思うことがあるんですよ。ここだけの話ですけどね。
だって、俺より小っさいじゃないですか。友達みたいな兄弟みたいな、身近な感じがするんですよね。
ずっとあの人は年上で、俺はいつまで経っても餓鬼のままみたいで凄く悲しくなるんです。でも十年前のボンゴレに大人って言って貰えるなら、俺の成長ぶりも捨てたもんじゃないって思えるでしょう?
仲間にならないのが仲間になる条件だなんて、巫山戯た話だと思わない?
何だろうと強要されるのは好きじゃないんだ。僕は自分のしたいようにするだけだよ。
一箇所に落ち着くのも嫌いじゃない。こんな指輪で僕を決め付けないで欲しいんだよね。