骸VSマーモンサンド(冒頭)

 黒曜ヘルシーランドには冷蔵庫が無いらしい。
 あの荒廃した施設跡を見れば、電気が止められて久しいだろうことは疑うまでもなく明白だ。夏場は食品も腐りやすいし、一切の電化製品が使えないあの場所で生活を営んでいる彼らはさぞ不便が多いだろうと、生活に貧窮したことのないツナでも時折想像しては気の毒になることもある。
 あくまで時折であり、四六時中ではない。ツナが特別冷酷な気質であるとか、あいつらに同情するなとの家庭教師の薫陶宜しきを得ているからではなく、
「マフィアなんかと馴れ合うつもりは微塵もありませんから」
と繰り返しつつ、沢田家の冷蔵庫を半分以上占拠し続けている言行不一致な目の前の男の所為である。



獄寺VSディーノサンド(冒頭)

「ほんぎゃああああ!!」
 生まれたばかりの赤子ではない。
「ご、獄寺君!?」
 この世の終わりのような絶叫と共に、獄寺はその場に崩れ落ちた。
「大丈夫?獄寺君……」
「よぅ、久しぶりだな」
 常ならば助け起こしてくれる十代目が、此度ばかりは声を掛けるだけに留まっている。
「跳ね馬…てめえ…!!」
 ドアに縋り、自力でよろよろ立ち上がる獄寺が睨み付けた相手、跳ね馬ディーノの所為である。




……期せずして、どっちも文末が「所為である」。