星屑きらき水きらき
じりりりりりりりりりりりりりりりりりりん じりりりりりりりりりりりりりりりりりりん
「―――――――……っっっうぅっっ、誰じゃ、朝っぱらから電話なぞ…」
眠い目をこすりながら、枕もとにぎっしり詰まれたヌイグルミの下から電話を引っ張り出す。
『おはようございます、すーすっ!!!!!!モーニングコールです!!!!!!!!!!!!!!』
「―――――――……よおぜん……」
太公望の目が一気に覚めたか覚めてないかはよくわからなかったが、太公望の足元で布団ごと何かがうごめいた瞬間、怖気が走ったことは確か。
そのうごめいた『何か』はすかさず太公望の手から受話器を奪う。
「おはよう、楊ぜん。朝っぱらから望ちゃんに何の用?」
この瞬間、電話の向こうで楊ぜんが焚き上がる姿は受話器を奪われた太公望にも容易に想像がついた。
『……普賢師弟、あなたこそそこで何をしているんです?』
感情を抑えに抑えて話す楊ぜん。声が怒りに満ちて震えている。
「何って……聞きたい?」
楽しそうに笑む普賢。
そのとき完全に目を覚ました太公望が普賢から受話器を取り上げた。
「楊ぜん……?」
どう切り出したらいいのかわからないらしい。
『……』
「……」
『……』
「……」
――――――――しばらくの間沈黙が続く。
がしゃんっっ
電話を切ったのは楊ぜん。
「あらぁ、楊ぜんたら完全にぷんすか??」
ぴかちゅうのヌイグルミをこねくり回しながら普賢が笑う。
太公望はそんな普賢をにらみつけた。
「うふっ」
不敵な笑みを浮かべる普賢。
「今すぐ楊ぜんのところへ行って謝って来い。」
「何を謝るって言うの?」
普賢はまた布団にもぐりこんだ。
太公望も布団にもぐりこむ。
そして言葉を変えて繰り返した。
「本当のことを話して来い。」
「ふげん何にも悪いこと言ってないよ。」
相変わらず自信たっぷりな笑みだ。
「おぬしの場合は言い方が悪いのじゃ。あのような言い方では誤解を招くじゃろ。」
だぁって、楊ぜんカラカウのおもしろいんだもん。」
けらけら笑って見せると、そのまま布団の中で太公望を押し倒す。
「望ちゃんは大切な友達だもの。」
太公望の唇をそっと自分の唇で包み込む。
「うふふふふ。」
狭い布団の中に普賢の声が響いた。