ゆっくりと体を起こし、手櫛で髪を整えると、目の前の眠り姫のふっくらほっぺにそっと口付けする。

「望ちゃんは僕の大切な……」

そう言いかけたところで、太公望が「クシュン」と小さなくしゃみをしたので普賢はあわててベッドからおりて布団をかけてやった。

そしてそのまましばらく太公望の寝顔を観察する。

それにつけてぷっくらほっぺをつついてみたり、頭をなでなでしてみたり、首筋を舐めてみたり……


「んふふふふ」

と軽快に微笑むと、回れ右をして部屋を後にした。




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